事業譲渡契約書の目的・作成方法を解説!ひな形の注意点も!

事業譲渡は、企業が特定の事業部門を他社に売却する際に用いられる重要なM&Aスキームの一つです。事業の再編成や新規事業への資金調達、後継者問題の解決など、さまざまな理由で事業譲渡が選択されます。しかし、事業譲渡は単なる売買とは異なり、譲渡資産の範囲や従業員の引き継ぎ、競業避止義務など、複雑な要素が絡み合います。そのため、事業譲渡契約書の作成は慎重に行わなければなりません。

本記事では、事業譲渡契約書の目的や作成方法、さらにひな形を利用する際の注意点について詳しく解説します。これにより、トラブルを未然に防ぎ、円滑な事業譲渡を実現するためのポイントを押さえていただけるでしょう。

この記事を監修した人:福住優(M&A情報館 代表取締役)

事業譲渡契約書とは?

事業譲渡契約書は、会社が運営する特定の事業部門を切り出して第三者に譲渡する際に作成される契約書です。事業譲渡は、M&Aの手法の一つであり、譲渡側(売り手)と譲受側(買い手)が特定の事業の資産や負債、人員、契約などを移転するために用います。この契約書は、譲渡される事業の内容や条件を明確に記載し、譲渡プロセスを円滑に進めるために重要な役割を果たします。

事業譲渡とは?

事業譲渡とは、会社が運営する「事業」の一部または全部を第三者に譲渡することを指します。これは、株式譲渡とは異なり、会社全体の経営権を譲渡するのではなく、特定の事業部門のみを切り出して譲渡する手法です。例えば、ある企業が不採算の部門を売却して、より収益性の高い部門に経営資源を集中させたい場合や、新規事業への投資資金を捻出したい場合に事業譲渡が選択されます。一方、譲受側(買い手)は、必要な事業のみを取得し、債務の承継を避けつつ事業拡大を図ることができます。

事業譲渡が行われると、譲渡企業の特定の事業資産、負債、人員、契約などが譲受企業に移転します。例えば、A社が「蕎麦」と「うどん」を扱っているとし、「蕎麦」部門をB社に譲渡する場合、B社は「蕎麦」部門の運営を引き継ぎ、A社は引き続き「うどん」部門のみを運営することになります。このように、事業譲渡は会社全体の経営権移転を伴わないため、譲渡企業はそのまま存続し、他の事業を継続することができます。

株式譲渡との違い

事業譲渡と株式譲渡の違いは、譲渡の対象とその方法にあります。株式譲渡は、企業の株主が所有する株式を第三者に譲渡し、譲受側が新たな株主となることで、会社全体の経営権が移転します。これに対し、事業譲渡では、特定の事業部門のみが譲渡されるため、譲渡企業自体の経営権は移動せず、その事業部門の資産や負債、人員、契約などが譲受側に移転します。

株式譲渡は、株主の同意さえ得られれば比較的容易に実施できますが、事業譲渡は譲渡対象の事業を詳細に特定し、契約書に記載する必要があります。例えば、譲渡する事業資産として、機械設備や不動産、知的財産権などが含まれる場合、それらを一つ一つリストアップして明確にする必要があります。また、事業譲渡では、譲渡される事業に関連する契約や債務についても、譲渡先の承諾が必要になることが多く、手続きが複雑になることが多いです。

さらに、事業譲渡には、競業避止義務や表明保証などの項目が含まれることが一般的です。これにより、譲渡後に譲渡側が同様の事業を行うことを防ぎ、譲受側の事業運営を保護します。例えば、譲渡側が事業譲渡後に同じ地域で同様の事業を開始すると、譲受側にとって大きな競争相手となり、事業譲渡の効果が損なわれる可能性があります。そのため、事業譲渡契約書には、競業避止義務を定め、譲渡側が一定期間同じ事業を行わないように規定することが重要です。

このように、事業譲渡契約書は、譲渡される事業の詳細な内容や条件を明確にし、譲渡プロセスを円滑に進めるために不可欠な書面です。事業譲渡を検討する際には、契約書の作成にあたり、専門家の助言を受けながら、具体的かつ詳細な取り決めを行うことが重要です。

事業譲渡契約書を作成する目的

事業譲渡契約書は、会社の特定の事業部門を他者に譲渡する際に作成される重要な書類です。この契約書は、譲渡側(売り手)と譲受側(買い手)の間で譲渡される事業に関する詳細な条件や取り決めを明確にすることで、トラブルの発生を防ぎ、スムーズな事業移転を実現するためのものです。以下に、事業譲渡契約書を作成する主要な目的を詳しく説明します。

事業譲渡の背景と理由

事業譲渡の背景には、企業が戦略的な選択を行うための様々な理由があります。例えば、企業が一部の事業を切り離して経営資源を集中させたい場合や、新規事業への投資資金を確保するために不採算部門を売却したい場合があります。また、事業の後継者がいない場合や、経営者の引退に伴い事業の継続を図るために第三者へ事業を譲渡するケースもあります。このような背景や理由に基づいて、事業譲渡が行われます。

事業譲渡契約書は、これらの背景や理由を考慮し、譲渡される事業の内容や条件を明確にすることで、譲渡側と譲受側の間の合意を文書化します。これにより、譲渡の目的が明確になり、譲渡後のトラブルを未然に防ぐことができます。

契約書の必要性

事業譲渡契約書を作成する必要性は、主に以下の点にあります。

  • トラブル防止

事業譲渡は、企業の経営に大きな影響を与える重要な取引です。譲渡の条件や内容を口頭で合意するだけでは、後々のトラブルの原因となる可能性があります。事業譲渡契約書を作成することで、譲渡の条件や内容を明確にし、双方が合意した内容を文書として残すことができます。これにより、トラブルの発生を防ぎ、紛争が起こった場合にも契約書をもとに迅速に対応できます。

  • 譲渡条件の明確化

事業譲渡契約書には、譲渡される事業の資産、負債、人員、契約などの詳細な内容が記載されます。これにより、譲渡の範囲が明確になり、譲渡側と譲受側の間で誤解や認識のズレが生じることを防ぎます。例えば、譲渡される機械設備や不動産、知的財産権などをリストアップして具体的に記載することで、どの資産が譲渡対象となるのかが明確になります。

  • 法的拘束力の確保

事業譲渡契約書は、法的に有効な契約書です。これにより、譲渡側と譲受側の間で合意された内容が法的に拘束されます。契約書に記載された内容に違反した場合には、法的な措置を取ることができるため、双方が契約内容を遵守する動機付けとなります。また、契約書には表明保証や競業避止義務など、譲渡後のリスクを軽減するための項目も含まれることが一般的です。

  • 信頼関係の構築

事業譲渡は、譲渡側と譲受側の信頼関係が重要です。事業譲渡契約書を作成することで、双方が合意した内容を文書として残し、透明性のある取引を実現できます。これにより、譲渡側と譲受側の信頼関係が強化され、円滑な事業移転が可能となります。

  • 競業避止義務の設定

事業譲渡契約書には、譲渡側が一定期間同じ事業を行わないようにする競業避止義務が含まれます。これにより、譲受側の事業運営が保護され、譲渡側が同様の事業を再開して譲受側の利益を侵害することを防ぎます。競業避止義務の設定は、譲受側にとって重要な保護策であり、契約書に明確に記載されます。

契約書の具体的な役割

事業譲渡契約書は、単なる形式的な書類ではなく、譲渡プロセス全体を円滑に進めるための重要なツールです。具体的には、以下のような役割を果たします。

  • 譲渡対象の特定

譲渡される事業の具体的な内容や範囲を明確にし、譲渡対象を特定します。これにより、譲渡側と譲受側の間で譲渡対象に関する誤解や認識のズレを防ぎます。

  • 譲渡条件の明確化

譲渡される資産、負債、人員、契約などの条件を詳細に記載し、譲渡プロセスを円滑に進めるための基盤を提供します。

  • 表明保証の設定

譲渡側が譲渡する事業に関して適法に運営していることや、譲渡対象の資産に第三者の担保などの障害がないことを表明し、保証する内容を記載します。これにより、譲受側のリスクを軽減します。

  • 競業避止義務の設定

譲渡後に譲渡側が同様の事業を行わないようにする競業避止義務を設定し、譲受側の事業運営を保護します。

  • トラブル防止策の提供

事業譲渡契約書には、契約違反が発生した場合の損害賠償や契約解除の条件などが記載され、トラブル発生時に迅速に対応できるようにします。

このように、事業譲渡契約書は、事業譲渡の成功を支える重要な書類であり、譲渡側と譲受側の双方にとって大きなメリットをもたらします。契約書の作成にあたっては、専門家の助言を受けながら、具体的かつ詳細な内容を記載することが不可欠です。

事業譲渡契約書の作成方法

事業譲渡契約書の作成は、譲渡側(売り手)と譲受側(買い手)の間で事業譲渡を円滑に進めるために欠かせない重要なプロセスです。契約書を適切に作成することで、譲渡条件の明確化やトラブルの防止が可能となり、譲渡の成功を確実にします。以下に、事業譲渡契約書の作成方法を詳しく説明します。

デューデリジェンスの重要性

事業譲渡契約書を作成する前に、デューデリジェンス(Due Diligence)を行うことが極めて重要です。デューデリジェンスとは、譲渡対象となる事業や資産、負債、契約などについて事前に詳細な調査を行うプロセスです。この調査により、譲渡対象の事業が適正な価値で評価されているか、潜在的なリスクがないかを確認します。

デューデリジェンスには、財務、法務、税務、事業運営などの各分野における専門的な調査が含まれます。例えば、財務デューデリジェンスでは、事業の財務状況や資産負債の評価を行い、事業の健全性を確認します。法務デューデリジェンスでは、契約や法的問題の確認を行い、事業運営におけるリスクを把握します。このような詳細な調査を行うことで、譲渡側と譲受側が納得のいく条件で契約を締結することができます。

資産の具体的な記載方法

事業譲渡契約書には、譲渡される資産を具体的に記載する必要があります。譲渡対象の資産が明確でないと、譲渡後にトラブルが発生する可能性が高まります。以下のポイントを押さえて資産を具体的に記載しましょう。

  • 有形資産のリストアップ

譲渡される有形資産(不動産、機械設備、車両など)をリストアップし、目録として契約書に添付します。資産の詳細(例:機械の型番、製造年、状態など)も記載しておくと、譲渡後のトラブル防止に役立ちます。

  • 無形資産の明確化

知的財産権(特許、商標、著作権など)やブランド価値などの無形資産も詳細に記載します。これにより、譲渡対象の範囲が明確になり、譲受側が安心して事業を運営できるようになります。

  • 債権・債務の明確化

譲渡される債権(売掛金など)や債務(借入金など)についても、具体的に記載します。債権者や債務額をリストアップし、債務引受に関する詳細を明記することで、譲受側がリスクを正確に把握できるようにします。

従業員引継ぎの具体的手続き

事業譲渡に伴う従業員の引継ぎも、事業譲渡契約書に明確に記載する必要があります。譲渡側の従業員が譲受側に転籍する際の手続きを具体的に定めることで、従業員の不安を軽減し、スムーズな引継ぎを実現します。

  • 従業員の同意取得

事業譲渡に伴い、従業員が譲受側に転籍する場合は、個別に同意を得る必要があります。従業員に対して、転籍後の労働条件や待遇について十分な説明を行い、書面で同意を取得します。

  • 転籍手続きの詳細

従業員の転籍手続きについて、具体的な方法を契約書に記載します。例えば、譲渡側の会社を退職後に譲受側と新たな雇用契約を結ぶ手続きや、転籍に伴う退職金や賞与の取り扱いについても明記します。

  • 労働条件の保証

転籍後の労働条件(給与、福利厚生、勤務場所など)について、譲受側が従業員に対してどのような条件を保証するかを契約書に記載します。これにより、従業員の不安を軽減し、引継ぎの円滑化を図ります。

契約内容の専門家チェック

事業譲渡契約書の作成にあたっては、専門家の助言を受けることが不可欠です。契約内容のチェックや適切な条項の追加など、専門家のサポートを受けることで、契約書の完成度を高めることができます。

  • 法務の専門家

弁護士などの法務の専門家は、契約書の法的側面をチェックし、法的リスクを軽減するための助言を提供します。表明保証や競業避止義務など、重要な条項の内容を確認し、適切な形で契約書に反映します。

  • 財務の専門家

公認会計士や税理士などの財務の専門家は、譲渡資産の評価やデューデリジェンスの結果を踏まえた助言を提供します。譲渡価格の妥当性や税務上の留意点について確認し、契約書に反映します。

  • M&Aの専門家

M&Aに詳しい専門家は、譲渡後の事業運営に関する助言を提供します。従業員の引継ぎや取引先との契約関係についての詳細を確認し、契約書に反映します。

このように、事業譲渡契約書の作成には、各分野の専門家の助言を受けながら、具体的かつ詳細な内容を記載することが重要です。これにより、譲渡プロセスの円滑化とトラブルの防止が実現し、事業譲渡の成功を確実にすることができます。

事業譲渡契約書の記載事項

事業譲渡契約書には、譲渡側(売り手)と譲受側(買い手)の間で合意された内容を詳細に記載し、双方の権利と義務を明確にするための重要な情報が含まれています。これにより、トラブルの発生を防ぎ、事業譲渡を円滑に進めることができます。以下に、事業譲渡契約書に含めるべき主要な記載事項を詳しく説明します。

契約者の明記

事業譲渡契約書の冒頭には、契約者の情報を明確に記載します。具体的には、譲渡側(売り手)と譲受側(買い手)の正式な名称、住所、代表者名を記載し、これらの情報をもとに契約を進めていくことを明示します。契約書の中では、通常、譲渡側を「甲」、譲受側を「乙」と表記し、以降の条項でそれぞれの名称の代わりにこれらの略称を使用します。

目的の明確化

事業譲渡契約書の目的を明確にするためには、譲渡する事業の内容や譲渡の理由を具体的に記載する必要があります。これには、譲渡される事業の概要や、事業譲渡に至った背景などが含まれます。例えば、「甲はその営業部門を乙に譲渡し、甲は新たな事業展開に集中することを目的とする」などの形で、譲渡の目的を明確にします。

譲渡資産等の対象範囲

譲渡される資産の具体的な範囲を詳細に記載することは、事業譲渡契約書の中で最も重要な部分の一つです。譲渡資産には、有形資産(不動産、機械設備、車両など)と無形資産(知的財産権、ブランド価値など)が含まれます。これらの資産をリストアップし、目録として契約書に添付します。また、譲渡対象となる債権や債務についても、具体的に記載し、譲受側が承継する範囲を明確にします。

租税公課の精算

事業譲渡に伴う租税公課の精算方法を契約書に明記します。租税公課とは、国や地方公共団体によって賦課徴収される税金や保険料のことを指します。具体的には、自動車税や固定資産税、従業員の社会保険料などが含まれます。譲渡される資産にかかる租税公課について、譲渡日時点で未経過の期間分は譲受側が負担し、経過済みの期間分は譲渡側が負担することが一般的です。

従業員の引き継ぎ

事業譲渡に伴う従業員の引き継ぎについても、契約書に明記します。従業員が譲受側に転籍する場合、その手続きや条件を具体的に記載します。これには、従業員の同意取得、転籍手続きの詳細、転籍後の労働条件の保証などが含まれます。従業員の転籍には、個別の同意が必要であり、転籍後の労働条件についても明確にしておく必要があります。

対価及び支払い方法

事業譲渡の対価とその支払い方法を詳細に記載します。対価は、譲渡される事業の評価額に基づいて決定され、具体的な金額を明記します。また、支払い方法として、譲渡側の銀行口座に振り込む方法や、分割払いの場合の支払いスケジュールなどを記載します。さらに、振込手数料の負担者についても明確にしておくことが重要です。

書類の交付

事業譲渡契約の締結に際して必要な書類の交付についても契約書に記載します。具体的には、取締役会や株主総会の決議書、事業譲渡に関する議事録の写しなどが含まれます。これにより、正当な手続きで事業譲渡が行われたことを証明します。

商号続用の免責登記

事業譲渡に際して譲受側が譲渡側の商号を続けて使用する場合、商号続用の免責登記を行う必要があります。会社法22条1項では、商号を続けて使用する場合、譲受側も譲渡側の債務を弁済する責任を負うと規定されています。ただし、免責登記を行うことでこの責任を回避することができます。契約書には、この登記手続きに関する事項を明記し、免責登記を確実に行うことを記載します。

取引先との契約関係

事業譲渡に伴い、取引先との契約関係も引き継がれることがあります。取引先との契約が自動的に切り替わるわけではないため、取引先の承諾を得る必要があります。契約書には、取引先との契約関係の移転手続きについて明記し、譲受側が新たに契約を締結するか、契約上の地位を変更することを記載します。

クロージング条件

クロージング条件とは、事業譲渡の実行にあたり、満たされるべき条件を指します。これには、従業員の転籍承諾、取引先の承諾取得などが含まれます。契約書には、クロージング条件を明確に記載し、条件が満たされない場合には事業譲渡を中止することができるようにします。

競業避止義務

競業避止義務とは、譲渡側が事業譲渡後に同様の事業を行わないようにする義務です。会社法21条では、譲渡側が譲渡した事業と同一の事業を同一の市町村や隣接する市町村で20年間行ってはならないと規定されています。契約書には、この競業避止義務の範囲や期間を具体的に記載し、譲受側の事業運営を保護します。

表明保証

表明保証とは、譲渡側が譲渡する事業に関して適法に運営されていることや、譲渡対象の資産に第三者の担保がないことなどを表明し、保証することを指します。契約書には、表明保証の内容を詳細に記載し、違反があった場合の損害賠償条項も明記します。これにより、譲受側のリスクを軽減し、安心して事業を引き継ぐことができます。

譲渡日までの事業の運営

事業譲渡契約書の締結日と実行日が異なる場合、譲渡日までの間の事業運営についても明確にする必要があります。契約書には、譲渡側が譲渡日までの間に事業を適切に管理し、資産の価値を保持する義務(善管注意義務)を記載します。これにより、譲渡日までの事業価値が維持されることを保証します。

署名・捺印

契約書の最後には、譲渡側と譲受側の代表者が署名・捺印を行います。これにより、契約の成立を正式に確認します。また、契約書を複数作成し、双方が原本を保管することも記載します。これにより、双方が同一内容の契約書を保有し、契約の履行を確認することができます。

印紙税の貼付

事業譲渡契約書には、印紙税法に基づき所定の印紙を貼付する必要があります。印紙税額は契約金額に応じて異なり、契約書に記載された譲渡額に基づいて適切な金額の印紙を貼付します。印紙を貼付し、消印を行うことで、契約書が法的に有効となります。

以上のように、事業譲渡契約書には多岐にわたる事項を詳細に記載する必要があります。これにより、譲渡プロセスが円滑に進行し、双方の権利と義務が明確にされることで、事業譲渡の成功を確実にすることができます。

事業譲渡契約書のひな形

以下に、事業譲渡契約書のひな形を作成しました。実際の契約書作成には、専門家の助言を得ながら、企業の具体的な状況に応じて内容をカスタマイズすることをお勧めします。

事業譲渡契約書
第1条(当事者)
本契約は、以下の各当事者(以下「甲」と「乙」といいます)との間で締結される。

甲:株式会社〇〇〇(以下「甲」という)
住所:〒XXX-XXXX 東京都XXXX
代表者:代表取締役 XXXX

乙:株式会社×××(以下「乙」という)
住所:〒XXX-XXXX 東京都XXXX
代表者:代表取締役 XXXX

第2条(目的)
甲は、その△△△事業(以下「本事業」という)を乙に譲渡し、乙はこれを譲り受けることを目的とする。

第3条(譲渡資産等の対象範囲)
本事業に関する有形資産(不動産、機械設備、車両等)
本事業に関する無形資産(知的財産権、商標、ブランド価値等)
本事業に関連する債権および債務
本事業に関連する契約(リース契約、賃貸借契約、雇用契約等)

第4条(租税公課の精算)
本事業に関連する租税公課の精算については、以下のとおりとする。
譲渡日時点で未経過の期間分:乙が負担
経過済みの期間分:甲が負担

第5条(従業員の引き継ぎ)
本事業に従事する従業員のうち、乙に転籍する者については、転籍に関する同意を個別に取得するものとする。
転籍後の労働条件は、乙の就業規則に従うものとする。

第6条(対価及び支払い方法)
本事業の譲渡対価は、金〇〇〇万円とする。
支払い方法は、以下のとおりとする。
支払期日:XXXX年XX月XX日
振込先:甲の指定する銀行口座
第7条(書類の交付)
本契約締結にあたり、甲および乙は取締役会および株主総会の決議書を相互に交付する。
必要なその他の書類についても、相互に交付するものとする。

第8条(商号続用の免責登記)
乙は、本事業に関する商号を続用しないこととする。
必要な場合には、商号続用の免責登記を行うものとする。

第9条(取引先との契約関係)
甲は、本事業に関連する取引先との契約移転について、取引先からの承諾を得るものとする。
乙は、取引先と新たな契約を締結するものとする。

第10条(クロージング条件)
本事業の譲渡実行日(以下「クロージング日」という)までに、以下の条件を満たすものとする。
従業員の転籍承諾取得
取引先からの契約移転承諾取得

第11条(競業避止義務)
甲は、本事業の譲渡後、譲渡日からXX年間、同一の市町村および隣接する市町村の区域内において、同一の事業を行わないものとする。

第12条(表明保証)
甲は、譲渡する事業が適法に運営されていること、譲渡対象の資産に第三者の担保がないことを表明し、保証する。
表明保証に違反があった場合、甲は乙に対して損害賠償責任を負うものとする。

第13条(譲渡日までの事業の運営)
甲は、本契約締結日からクロージング日までの間、本事業を善良なる管理者の注意をもって運営するものとする。

第14条(署名・捺印)
本契約は、甲および乙の双方の署名・捺印をもって成立するものとし、各自原本を保有する。

甲:株式会社〇〇〇
代表取締役 XXXX(署名・捺印)

乙:株式会社×××
代表取締役 XXXX(署名・捺印)

第15条(印紙税の貼付)
本契約書には、所定の印紙税額に基づき印紙を貼付し、消印を行う。

以上、本契約書はXXXX年XX月XX日に作成され、甲乙双方の合意に基づき締結されたものとする。

このひな形をもとに、実際の契約書作成時には企業の具体的な状況に応じて条項を追加・修正し、詳細な内容を盛り込むことをお勧めします。また、契約書の作成にあたっては、必ず専門家の助言を受けるようにしてください。

ひな形を使用する際の注意点

ひな形を使用する際には、特に以下の点に注意が必要です。

  • 漏れなく詳細に記載する

資産や負債、人員、契約など、譲渡対象の範囲を具体的に記載し、曖昧な表現を避けること。

  • 従業員の同意取得

従業員の引き継ぎに関しては、必ず個別の同意を得て、転籍手続きを明確に記載すること。

  • 競業避止義務

競業避止義務の範囲や期間を具体的に設定し、譲受側の事業運営を保護すること。

専門家の助言契約書の作成にあたっては、必ず専門家の助言を受け、法的リスクを軽減するようにしましょう。

ひな形を適切にカスタマイズし、詳細な内容を盛り込むことで、トラブルを防ぎ、事業譲渡の成功を確実にすることができます。事業譲渡契約書は企業の重要な資産であり、慎重に作成することが求められます。

まとめ: 適切な事業譲渡契約書作成は事業譲渡成功に不可欠!

事業譲渡契約書の作成は、事業譲渡の成功を左右する重要なプロセスです。ひな形を利用することで基本的な構成を押さえることができますが、企業の具体的な状況に合わせて詳細にカスタマイズすることが不可欠です。資産や負債の具体的な範囲、従業員の引き継ぎ、競業避止義務など、各企業の特殊事情に対応するために、弁護士や公認会計士などの専門家の助言を受けることが重要です。

事業譲渡契約書を適切に作成することで、トラブルを未然に防ぎ、譲渡プロセスを円滑に進めることができます。これにより、譲渡側と譲受側の双方が納得のいく形で事業譲渡を完了し、新たなステージへと進むための確固たる基礎を築くことができるでしょう。

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