店舗売却を検討している方にとって、そのプロセスや費用についての理解は非常に重要です。特に飲食店や美容室などの事業を営む場合、閉店や売却は避けて通れない現実です。しかし、適切な方法を選び、計画的に進めることで、コストを抑えつつスムーズに店舗を手放すことが可能です。本記事では、店舗売却の基本的な流れから、費用相場や居抜き売却の具体的な手順まで詳しく解説します。
- この記事を監修した人:福住優(M&A情報館 代表取締役)
店舗売却の定義と種類
店舗売却とは、店舗の運営者がその店舗を他の個人や企業に売却することを指します。この過程では、店舗自体や店舗に付随する資産、設備、営業権などが取引の対象となります。店舗売却の方法には主に「営業権の譲渡」と「居抜き売却」の2種類があります。
営業権の譲渡
営業権の譲渡とは、店舗の経営権を次のオーナーに移す方法です。この方法は、評判やブランド力が確立している店舗を手放したい場合や、後継者がいる場合に適しています。売却価格は、現状の収益、店舗や設備の価値、将来の収益見込みなどを考慮して決定されます。
この方法のメリットは、既存の店舗を閉店することなく、ノウハウやブランド力を引き継げる点にあります。しかし、現オーナーと新オーナーの戦略や価値観が異なると、譲渡がうまくいかない場合があります。結果として、店舗の味や雰囲気が大きく変わることもあり得ます。
居抜き売却
居抜き売却とは、店舗の内装や設備、什器などをそのままの状態で売却する方法です。飲食店や美容室などではよく見られる取引方法であり、売主は原状回復工事や設備の処分に費用がかからないため、コストを抑えて売却することができます。買主にとっても、新たに建物を改修することなく、既存の設備を利用できるため、初期費用を抑えることが可能です。
居抜き売却には、以下の2種類があります。
現状引渡し
現状引渡しは、貸主(オーナー)と借主の間で契約満了手続きを行い、そのままの店舗を取引する方法です。一般的に、店舗の契約を解約する場合、スケルトン解体工事が必要ですが、現状引渡しではその必要がなく、閉店コストを抑えることができます。
造作譲渡
造作譲渡とは、貸主(オーナー)を介さずに店舗の借主(売主)と買主が直接話し合って売買を行う方法です。この方法では、契約満了前から売買を行うことができるため、早期に契約を解除できる傾向にあります。また、原状回復の必要がないため、設備や什器をそのまま明け渡すことが可能です。
店舗売却のメリットとデメリット
店舗売却には、売主と買主それぞれにとってメリットとデメリットがあります。
メリット
- コスト削減
居抜き売却の場合、売主は原状回復工事や設備の処分にかかる費用を削減できます。廃業時には原状回復工事に多額の費用がかかることがありますが、居抜き売却ではその必要がないため、コストを大幅に抑えることができます。
- 売却利益の獲得
店舗売却により、売却利益を得ることができます。この利益は、老後の資金や他事業の資金として活用することができます。特に、居抜き売却では、設備や什器の譲渡による追加利益も見込めます。
- 迅速な取引
居抜き売却の場合、店舗をスケルトン状態に戻す必要がないため、閉店後すぐに買主に引渡すことが可能です。これにより、売主は営業を続けながら売却手続きを進めることができ、収益を維持することができます。
- 買主にとっての初期費用削減
買主にとっても、既存の設備や内装をそのまま利用できるため、開業コストを抑えることができます。また、開店準備期間を短縮できるため、迅速に営業を開始することが可能です。
デメリット
- 従業員への影響
居抜き売却では、買主を募集するために広告を出すことが一般的です。そのため、従業員が店舗の売却計画を知ってしまう可能性があり、経営者と従業員の信頼関係に悪影響を及ぼすことがあります。従業員が早期退職してしまうと、移転後の営業に支障をきたすこともあります。
- 買主探しの難航
居抜き売却は、同業者に限定されることが多いため、買主を見つけるのが難しい場合があります。特に、営業赤字が続いている店舗では、買主探しが長引き、赤字期間が延びるリスクがあります。
- 売却後のトラブル
居抜き売却では、中古状態の什器や設備を引き継ぐため、開業後に不具合が発生する可能性があります。この場合、買主との間でトラブルが発生し、契約解除や損害賠償請求に発展することもあります。売却前には、設備の動作確認を念入りに行い、不具合がある場合は事前に買主に伝えておくことが重要です。
- 前店舗のイメージの影響
居抜き売却では、前の店舗の内装や設備がそのまま残るため、前の店のイメージが新店舗に影響を与えることがあります。顧客が前の店の系列店や新装開店と誤解することもあり、店舗の評判が売却のしやすさに関わることを理解しておく必要があります。
以上のように、店舗売却にはさまざまなメリットとデメリットが存在します。売主と買主の双方がこれらを理解し、適切な対策を講じることで、スムーズな取引が実現できるでしょう。
店舗売却の流れ
店舗売却のプロセスは複数のステップに分かれており、それぞれのステップを順番に進めていくことでスムーズな売却が実現できます。以下に、店舗売却の具体的な流れを詳しく解説します。
ステップ1: リースや契約書の確認
店舗売却を始める前に、まず現在のリース契約書や賃貸借契約書を確認することが重要です。これにより、契約上の義務や権利を把握し、売却に向けた準備が整います。特に以下の点に注意しましょう。
- リース契約の有無
設備や什器がリース契約で提供されている場合、その契約条件を確認する必要があります。リース品が売却対象に含まれる場合、リース会社に返却するか、残債を精算して所有権を移す手続きが必要です。
- 原状回復義務
賃貸借契約書には、解約時に店舗を原状回復する義務が記載されていることが多いです。この義務が居抜き売却にどのように影響するかを理解し、貸主(オーナー)との協議を進めるための準備を行いましょう。
- 解約予告期間
賃貸借契約書に記載された解約予告期間(通常3~6ヶ月前)を確認し、売却計画のタイミングを調整します。買主が見つかっていない時期に解約予告を出すのは得策ではありませんので、適切な時期に予告するための計画を立てましょう。
ステップ2: 売却する会社へ相談
次に、店舗売却を専門とする不動産会社に相談します。経験豊富な不動産会社を選ぶことが成功の鍵です。特に、居抜き売却の実績がある会社を選ぶと安心です。以下の情報を提供して、詳細なヒアリングを受けましょう。
- 店舗の住所
- 閉店予定時期
- 希望の売却価格や条件
- リース契約の有無
- 設備や什器の状態、不具合の有無
不動産会社はこれらの情報を基に、物件の査定や売却プランを提案してくれます。また、賃貸借契約書や店舗の平面図などの資料も提供すると、スムーズに話が進みます。
ステップ3: 買主を募集する
不動産会社と媒介契約を締結した後、買主を募集します。店舗売却の情報が広く周知されることで、適切な買主を見つけることが可能になります。以下の方法を利用して買主を募集します。
- 広告の出稿
インターネットや専門の居抜き物件サイトに店舗売却の広告を掲載します。これにより、多くの潜在的な買主に情報が届きます。
- 内見の調整
買主候補が現れた場合、内見を実施します。内見が頻繁に行われるわけではありませんが、店舗の清潔さを保ち、良好な印象を与えることが重要です。
- 資料の準備
賃貸借契約書や店舗の平面図などの資料をあらかじめ準備しておくことで、スムーズに募集活動を進められます。
ステップ4: 内見・現地調査を実施する
買主の候補が見つかった場合、不動産会社の担当者を交えて内見や現地調査を実施します。この段階で店舗の状態や周辺環境の確認が行われます。内見の際に注意すべきポイントは以下の通りです。
- 店舗の清潔感
店舗の清掃を徹底し、良好な印象を与えるようにします。特に、飲食店などの場合は清潔感が重視されます。
- 現状の説明
内見時には、売却理由や店舗の強み、設備の状態などについて質問されることがあります。不動産会社と事前に打ち合わせを行い、適切な回答を準備しておきましょう。
ステップ5: 貸主の承諾を得る
居抜き売却を進めるには、貸主の承諾が必要です。なぜなら、物件自体は貸主の所有物であり、無断での売却はできないからです。以下の手順で貸主の承諾を得るようにします。
- 造作譲渡の承諾
賃貸借契約書には通常、原状回復義務が記載されていますが、居抜き売却を行う場合はこの義務を免除してもらう必要があります。不動産会社と協力し、貸主に対して具体的な経営プランや買主の信頼性を示しながら交渉を行います。
- 書面での承諾
貸主の承諾が得られた場合、その内容を文書で確認します。これにより、後々のトラブルを防ぐことができます。
ステップ6: 売却の条件交渉を実施する
貸主の承諾を得たら、次に買主との売却条件交渉を行います。主な交渉内容は以下の通りです。
- 売却価格
買主からの値下げ交渉に備え、最低限の売却価格ラインを事前に設定しておきます。強気の価格設定をすると交渉が難航することがありますので、現実的な価格を設定することが重要です。
- 造作譲渡の詳細
売主と買主の見解の相違を防ぐため、譲渡リストを作成し、どの設備や什器が譲渡対象に含まれるかを明確にします。詳細な説明を行い、合意を得た上で契約を進めます。
ステップ7: 造作譲渡契約を締結する
条件交渉が成立したら、貸主と借主(売主)、買主の3者間でそれぞれ契約を行います。以下の手順で契約を進めます。
- 貸主との面会
買主が貸主と面会し、造作譲渡の許可を得ます。
- 造作譲渡契約の締結
借主(売主)と買主の間で造作譲渡契約を結びます。トラブル防止のため、譲渡リストを基に詳細な契約内容を確認し合います。
- 賃貸借契約の更新
賃貸物件の場合、貸主と買主で新たな賃貸借契約を締結します。また、借主(売主)と貸主は賃貸借契約の解約や保証金の返金などを行います。
ステップ8: 決済・引渡しを実施する
最終ステップとして、決済と引渡しを行います。具体的な手順は以下の通りです。
- 引渡し書類への署名・押印
売主と買主は引渡しに関する書類に署名・押印します。
- 引渡し金の支払い
買主から売主へ引渡し金が支払われます。通常、契約時に手付金が支払われており、決済時には残金を精算します。
- 鍵の受渡し
売主から買主に店舗の鍵を引渡して完了です。
以上のステップを順番に進めることで、店舗売却をスムーズに実施することができます。信頼できる不動産会社のサポートを受けながら、各ステップを着実に進めていきましょう。
店舗売却にかかる費用
店舗売却には様々な費用がかかります。これらの費用を事前に把握し、準備しておくことが重要です。以下では、店舗売却に際して必要となる主要な費用項目について詳しく解説します。
貸主への承諾料
居抜き売却を行う際、貸主からの承諾を得る必要があります。このとき、貸主に対して承諾料を支払うことがあります。法律上、貸主が承諾料を請求することが認められているわけではありませんが、実際には慣行として行われている場合が多いです。
貸主への承諾料の金額は、ケースバイケースで異なりますが、一般的には譲渡代金の10%または家賃の2~3ヶ月分が目安とされています。これは、貸主に対する一種の賠償金として考えられ、居抜き売却をスムーズに進めるための必要経費といえます。売却プロセスの初期段階で貸主との交渉を始め、承諾料についての合意を得ておくことが重要です。
仲介手数料
不動産会社に店舗売却の仲介を依頼する場合、仲介手数料が発生します。居抜き売却における造作譲渡の仲介は宅地建物取引業法の対象外であるため、仲介手数料の上限額は法的に定められていません。しかし、一般的には「30万円または譲渡代金の10%」が目安とされています。
仲介手数料は、不動産会社が行う以下のサービスに対する対価となります。
- 市場調査と査定
物件の市場価値を評価し、適正な売却価格を設定する。
- 買主の募集と広告
インターネットや専門サイトでの広告掲載、内見の調整など。
- 交渉と契約手続き
売主と買主の間で条件交渉を行い、契約書の作成や手続きのサポートを提供。
仲介手数料は成功報酬型であるため、物件が売却成立した場合にのみ支払う形となります。不動産会社と契約を結ぶ際には、手数料の金額や支払い条件を事前に確認しておくことが重要です。
所得税
店舗売却で利益が発生した場合、その利益に対して所得税が課されます。所得税は、売却利益が店舗の取得費や譲渡費用を上回る場合に適用されます。所得税の計算方法は、土地や建物の売却で得た利益と、設備や什器を売却して得た利益に分けて行います。
- 土地や建物の売却利益
この部分の利益は分離課税となり、所有期間に応じて税率が異なります。所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得となり税率が高く、5年超の場合は長期譲渡所得となり税率が低くなります。
- 設備や什器の売却利益
この部分の利益は総合課税として扱われ、他の所得(給与所得など)と合算して計算されます。所得額が大きいほど税率も高くなる累進課税が適用されます。
店舗売却の際には、税理士と相談して適切な所得税の申告と納税を行うことが重要です。
印紙税
印紙税は、店舗売却時に作成する契約書に課される税金です。契約書に貼付する収入印紙を購入して納税します。印紙税の額は契約書の売却金額に応じて異なり、以下のように定められています。
- 売却金額が100万円以下の場合:500円
- 売却金額が500万円以下の場合:1,000円
- 売却金額が1,000万円以下の場合:5,000円
- 売却金額が5,000万円以下の場合:10,000円
- 売却金額が1億円以下の場合:30,000円
- 売却金額が5億円以下の場合:60,000円
契約書に印紙を貼付しない場合、過怠税が課されることになりますので、必ず契約書に適切な額の印紙を貼付するようにしましょう。
店舗売却を成功させるためには、これらの費用をしっかりと把握し、適切に準備することが重要です。税理士や不動産会社と協力し、費用の見積もりや納税手続きを確実に行うことで、スムーズな店舗売却を実現しましょう。
店舗売却の費用相場
店舗を売却する際には、様々な費用が発生します。これらの費用は売却の手法や条件、地域の不動産市場状況によっても異なりますが、一般的な費用相場を理解しておくことは重要です。以下では、店舗売却に関連する主な費用項目について詳細に説明します。
仲介手数料
店舗売却を不動産会社に仲介してもらう場合、仲介手数料が発生します。通常、不動産会社に支払う仲介手数料は「売買代金の3% + 6万円(税別)」が上限とされています。ただし、居抜き売却の場合は造作譲渡の仲介となり、宅地建物取引業法の対象外となるため、手数料の上限は法的に定められていません。一般的には「30万円または譲渡代金の10%」が目安とされています。
譲渡所得税
店舗売却で利益が発生した場合、その利益に対して譲渡所得税が課されます。譲渡所得税は、売却価格から取得費(購入時の費用)と譲渡費用(売却時にかかる費用)を差し引いた金額が譲渡所得となり、その所得に対して課税されます。税率は所有期間によって異なり、所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得となり税率が高く、5年を超える場合は長期譲渡所得となり税率が低くなります。具体的には、短期譲渡所得の場合は39.63%、長期譲渡所得の場合は20.315%が適用されます。
印紙税
売買契約書に貼付する印紙税も必要です。印紙税の額は売買契約書の金額に応じて決まります。具体的には、以下の通りです。
- 100万円以下:500円
- 500万円以下:1,000円
- 1,000万円以下:5,000円
- 5,000万円以下:10,000円
- 1億円以下:30,000円
- 5億円以下:60,000円
その他の費用
売却に伴うその他の費用として、以下のようなものがあります。
- 登記費用: 売却に伴う所有権移転登記の費用
- 測量費用: 土地の売却の場合、境界確認や測量にかかる費用
- 解体費用: スケルトン状態での引き渡しが必要な場合の解体費用
- クリーニング費用: 引き渡し前の店舗内のクリーニング費用
これらの費用は、売却の条件や状況に応じて発生するため、事前に見積もりを取るなどして準備を進めることが重要です。
居抜き売却の費用相場
居抜き売却とは、店舗の内装や設備、什器などをそのままの状態で売却する方法です。一般的に、飲食店や美容室などで利用されることが多く、売却時のコスト削減が大きなメリットとなります。しかし、居抜き売却にも特有の費用が発生します。以下では、居抜き売却に関連する主要な費用項目について詳細に説明します。
貸主への承諾料
居抜き売却を行う際、貸主(オーナー)からの承諾を得る必要があります。このとき、貸主に対して承諾料を支払うことが求められる場合があります。承諾料の金額は具体的な取り決めによりますが、一般的には譲渡代金の10%または家賃の2~3ヶ月分が目安とされています。この費用は、売却をスムーズに進めるための重要な項目であり、事前に貸主としっかり交渉しておくことが大切です。
仲介手数料
居抜き売却でも、不動産会社に仲介を依頼する場合、仲介手数料が発生します。通常、仲介手数料は「売買代金の3% + 6万円(税別)」が上限ですが、居抜き売却においては「30万円または譲渡代金の10%」が目安とされています。仲介手数料は不動産会社が提供する市場調査や査定、広告、契約手続きなどのサービスに対する対価です。
所得税
居抜き売却で利益が発生した場合、その利益に対して所得税が課されます。所得税の計算方法は、土地や建物の売却で得た利益と、設備や什器を売却して得た利益を分けて考えます。土地や建物の売却利益は分離課税として扱われ、設備や什器の売却利益は総合課税として扱われます。所有期間や利益額に応じて税率が異なるため、事前に税理士と相談し、適切な申告と納税を行うことが重要です。
印紙税
居抜き売却においても、売買契約書に印紙税がかかります。印紙税の額は売買契約書の金額に応じて変動し、以下のように設定されています。
- 100万円以下:500円
- 500万円以下:1,000円
- 1,000万円以下:5,000円
- 5,000万円以下:10,000円
- 1億円以下:30,000円
- 5億円以下:60,000円
契約書に印紙を貼付しない場合、過怠税が課されるため、契約書作成時に適切な額の印紙を貼付することが必要です。
リース品の返却費用
居抜き売却の場合、売却対象となる店舗内にリース品が含まれていることがあります。この場合、リース品をリース会社に返却する費用や、リース契約の残債を精算する費用が発生します。リース品が多い場合や高価な設備が含まれている場合は、これらの費用が大きくなることがありますので、事前にリース会社と確認しておくことが重要です。
その他の費用
居抜き売却に関連するその他の費用として、以下のようなものがあります。
- 動作確認費用: 引き渡し前に設備や什器の動作確認を行う費用
- 修繕費用: 売却前に必要な修繕やクリーニング費用
- 広告費用: 売却物件の広告掲載にかかる費用
これらの費用は、売却の条件や状況に応じて発生するため、事前に見積もりを取るなどして準備を進めることが重要です。
店舗売却と居抜き売却の費用相場をしっかりと把握し、適切に計画を立てることで、スムーズな売却プロセスを実現することができます。専門家と連携し、必要な手続きを確実に進めることが成功への鍵となります。
店舗売却を成功させるポイント
店舗売却を成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。特に、関係者とのコミュニケーションや契約内容の確認、適切な不動産会社の選定など、計画的かつ慎重に進めることが成功の鍵となります。以下では、店舗売却を成功させるための具体的なポイントを詳細に解説します。
優先的に貸主の承諾を取る
店舗売却をスムーズに進めるためには、貸主(オーナー)の承諾を優先的に取得することが非常に重要です。賃貸借契約には通常、居抜き売却や造作譲渡についての規定が含まれており、貸主の承諾がないと手続きを進めることができません。以下の手順を参考にして、貸主の承諾を得るためのプロセスを進めましょう。
まず、貸主に対して店舗売却の意図を説明し、具体的な計画を提示します。これには、売却の理由、売却価格の設定、売却後の店舗運営計画などが含まれます。特に、買主の業種や営業計画、店舗の改修計画などを詳細に伝えることで、貸主の不安を解消し、信頼を得ることができます。
また、貸主の承諾を得るためには、賃貸借契約書の内容をよく確認し、契約違反とならないように注意が必要です。契約書には、原状回復義務や解約予告期間などが明記されているため、これらの条項に従って適切に対応することが求められます。貸主が承諾しやすくなるように、事前に信頼関係を築き、誠実に対応することが大切です。
従業員への対応に誠意をもつ
店舗売却を成功させるためには、従業員への対応に誠意をもつことが不可欠です。売却活動が従業員に知られることで、彼らの不安や動揺を招く可能性があります。そのため、従業員に対して適切なタイミングで情報を共有し、誠実な対応を心がけましょう。
まず、店舗売却の決定が確定した時点で、従業員に対して事前に説明することが重要です。突然の発表は従業員の信頼を損なうことになるため、できるだけ早い段階で情報を伝え、質問や不安に対して丁寧に答えるようにしましょう。また、従業員が売却後も安心して働けるように、新しい経営者との関係を築く手助けをすることも大切です。
さらに、従業員の退職や再雇用に関する対応についても、事前に計画を立てておく必要があります。退職希望者には適切な退職金を支払い、再雇用を希望する従業員には新しい経営者との面談をセッティングするなど、誠実な対応を心がけましょう。従業員との信頼関係を維持することが、売却プロセスを円滑に進めるための重要な要素となります。
リース設備の契約書を確認する
店舗売却において、リース設備の契約書を確認することは非常に重要です。リース設備が存在する場合、売却前にリース契約の内容を把握し、適切な手続きを行う必要があります。以下の手順を参考に、リース設備に関する対応を進めましょう。
まず、リース契約書を確認し、リース設備の所有権や残債額、契約期間などを把握します。リース設備が売却対象となる場合、リース会社に対して契約内容の確認と解約手続きの相談を行います。場合によっては、リース設備を買主に引き継ぐための手続きを行うことも必要です。
また、リース設備を売却する場合、買主がリース設備を継続利用するためには、リース会社の承諾を得る必要があります。この場合、買主がリース契約の審査に通過しなければならないため、事前にリース会社と買主の間で調整を行い、必要な手続きを進めるようにしましょう。
さらに、リース設備の動作確認やメンテナンスを行い、買主に対して設備の状態を正確に伝えることも重要です。不具合が発生している場合は、売却前に修理を行うか、買主に対して事前に説明し、トラブルを未然に防ぐように努めましょう。
複数の不動産会社へ相談する
店舗売却を成功させるためには、複数の不動産会社へ相談し、最適なパートナーを選定することが重要です。不動産会社の選定は、売却価格の査定や買主の募集、契約手続きなど、売却プロセス全体に大きな影響を与えます。以下のポイントを参考に、不動産会社を選定する際の手順を進めましょう。
まず、複数の不動産会社に相談し、査定価格やサービス内容を比較検討します。不動産会社によって得意分野や実績が異なるため、店舗売却の経験が豊富な会社を選ぶことが重要です。特に、居抜き売却を希望する場合は、居抜き物件の取り扱い実績が多い会社を選ぶと良いでしょう。
次に、査定価格の根拠を確認し、適正な価格設定を行います。不動産会社の中には、高額な査定価格を提示して媒介契約を締結しようとするケースもありますが、実際の売却価格が大幅に異なる場合があります。そのため、査定価格の根拠や市場動向をしっかりと確認し、適正な価格で売却を進めるようにしましょう。
また、契約形態についても検討が必要です。不動産会社との媒介契約には、専任媒介契約、専属専任媒介契約、一般媒介契約の3種類があります。それぞれの契約形態にはメリット・デメリットがあるため、自分の状況に合った契約形態を選ぶことが重要です。
最後に、不動産会社とのコミュニケーションを大切にし、信頼関係を築くことが成功への鍵となります。売却プロセス中に発生する問題や疑問に対して、迅速かつ誠実に対応してくれる会社を選ぶことで、スムーズな売却を実現することができます。
まとめ: 店舗売却を成功させるための最重要ポイント
店舗売却を成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。本記事では、売却の基本的な流れから、具体的なステップ、そして費用や税金の詳細までを詳しく説明しました。まず、売却プロセスの初期段階でリースや契約書の確認を徹底し、必要な情報を整理することが成功の第一歩です。また、店舗売却の市場調査を行い、適正な価格設定をすることも重要です。さらに、複数の不動産会社に相談し、経験豊富で信頼できるパートナーを選ぶことが成功への鍵となります。査定価格の根拠をしっかりと確認し、契約形態についても慎重に検討しましょう。
貸主の承諾を優先的に取得し、従業員に対しても誠実に対応することが、トラブルを避けるために不可欠です。特に従業員には適切なタイミングで情報を共有し、信頼関係を維持するよう努めましょう。さらに、所得税や譲渡所得税、印紙税などの税金についての知識を持ち、適切に対応することが重要です。リース設備の契約書を確認し、売却に伴う費用も事前に把握しておきましょう。店舗売却は決して簡単なプロセスではありませんが、計画的に進めることで、成功への道を切り開くことができます。