M&Aは企業が成長戦略を描くうえで非常に重要な手段ですが、独占禁止法(独禁法)の規制に十分な注意を払わなければ、計画の実行が困難になり、場合によっては市場への影響を理由に取引そのものが中止されるリスクもあります。独禁法は市場の公正な競争を保護するため、特定の条件を満たすM&A案件に対して厳格なルールを設けています。
この記事では、M&Aにおいて独禁法の規制対象となる行為や、具体的な事前届出の必要性、そしてリスク管理の重要性について解説します。
- この記事を監修した人:福住優(M&A情報館 代表取締役)
M&Aと独占禁止法の関係性とは?基礎知識と規制の概要
M&Aは、企業の成長や再編成のための戦略的手段ですが、同時に独禁法と密接に関わっています。独禁法は、企業間の自由な競争を確保し、消費者の利益を守ることを目的とした法律です。そのため、M&Aを通じて企業が市場支配力を強化し、競争を制限するおそれがある場合には規制の対象となります。
ここでは、M&Aと独禁法の基本的な関係性や規制の概要を解説し、独禁法がM&Aにおいてどのような場面で適用されるのかを具体的に説明します。特に、株式取得や役員兼任、事業譲渡といった企業結合行為が独禁法においてどのような規制を受けるのかについても触れていきます。
独占禁止法とは?M&Aとの関わりを知る
独禁法は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」の略称であり、市場における公正な競争を維持することを目的とした法律です。主に以下の3つの規制を通じて、企業の活動を管理しています。
- 私的独占の禁止
企業が競争相手を排除したり、支配的な市場地位を利用して他社の活動を制約する行為を禁止します。これにより、一部の企業が市場全体を支配することを防ぎます。
- 不当な取引制限の禁止
企業間での価格カルテルや市場分割など、競争を阻害する行為を制限します。
- 公正取引の確保
企業が不当な競争手段を用いることなく、自由に市場で取引できる環境を作るための規制を施行します。
M&Aにおいては、これらの規制を無視することで、企業が市場に対する支配力を強めすぎ、競争を制限するリスクが生じます。したがって、公取委はM&Aが市場に与える影響を審査し、必要に応じて事前届出を義務付けています。
M&Aが独占禁止法の対象になる理由とは?
M&Aが独禁法の規制対象となる理由は、市場における競争を維持するためです。M&Aにより、企業が市場支配力を大幅に高めると、競争が制限されるリスクが生じます。このような場合、消費者の選択肢が狭まり、価格が上昇するなどの問題が発生する可能性があります。
独禁法では、特に以下のような企業結合が規制の対象となります。
- 株式取得
企業が他社の株式を取得し、支配権を得る場合、その市場における競争が実質的に制限されるリスクがあります。
- 役員兼任
同じ市場で競争する企業が、役員を兼任することで市場に影響を与える場合、独禁法の規制対象となります。
- 事業譲渡
他社の事業を譲り受ける際、その取引が特定の市場で競争を妨げる可能性がある場合、独禁法に基づく規制を受けることがあります。
- 合併・会社分割
企業が合併や分割を行う際、競争に悪影響を与えると判断される場合、規制がかかることがあります。
M&Aにおける企業結合は、市場における競争の制限を防ぐために、公取委による審査が必要となります。この審査により、M&Aが競争に与える影響を評価し、問題がある場合は修正や中止が求められることがあります。
M&Aにおける独占禁止法の規制対象を理解しよう
M&Aを行う際には、企業が独禁法の規制対象となるかどうかを把握しておくことが重要です。独禁法は、企業が市場における支配力を不当に強化し、競争を制限する行為を規制することで、公正な取引環境を保護しています。そのため、M&Aを進める際に市場に与える影響や、競争制限の可能性について考慮しなければなりません。
ここからは、M&Aにおける独禁法の規制対象となる具体的な行為を解説し、各行為がどのような状況で独禁法の規制を受けるかについて説明します。特に、株式取得や会社分割・合併、役員兼任、共同株式移転、事業譲渡においては、独禁法上の審査が必要となるため、それぞれの行為が規制される条件を理解しておくことが求められます。
株式取得に対する規制
株式取得は、企業が他社の株式を購入することで支配権を強化し、市場での競争を制限するおそれがある場合、独禁法の規制対象となります。特に株式取得に関しては、議決権の割合や企業の売上高が一定基準を超える際には、事前に公正取引委員会(公取委)への届出が必要です。
株式取得の規制範囲について、独禁法では以下のような条件が定められています。
- 議決権割合の規制
株式取得により、企業が他社の総株主議決権の20%または50%を超えることになる場合、独禁法の事前届出義務が発生します。これにより、企業が市場において支配力を高め、競争環境を不当に変えることを防ぐ仕組みが整えられています。 - 売上高基準の規制
取得者企業や株式を発行する企業の売上高が、独禁法で定める基準を超える場合も事前届出が必要です。具体的には、取得者企業のグループ売上高が200億円以上、取得対象企業の売上高が50億円以上であるときに規制対象となります。
例えば、大手企業が他の企業を買収してその業界でのシェアを大きく拡大しようとした場合、取得後の市場支配力を評価し、競争を制限する可能性があると公取委が判断した場合には、届出を受理した上で、株式取得の見直しや条件付き承認が求められることもあります。
会社分割・合併に対する規制
会社分割や合併も、独禁法において重要な規制対象です。これらの行為は、企業が分割または合併を通じて市場シェアを拡大し、競争に悪影響を与える可能性があるため、事前に公取委へ届出を行い、審査を受ける必要があります。
独禁法では、特に以下の状況が規制対象となります。
- 会社分割
独禁法第15条の2では、会社が分割によって事業を他社へ移管し、特定の取引分野での競争を実質的に制限する場合を規制しています。例えば、共同新設分割や吸収分割によって、ある特定市場での支配力を強め、競争を排除したり制限することが想定される場合には、独禁法上の規制を受けることとなります。
- 合併
独禁法第15条では、企業が合併することで市場におけるシェアが過度に集中することを防ぐため、合併によって競争が制限されるおそれがある場合、規制を行うことが定められています。特に同一業界内の企業同士の合併では、独占的な市場支配の形成につながることがあるため、厳格な審査が求められます。
例えば、大規模な製造業や金融業界での合併において、特定の企業が市場の大部分を占めるようになる場合、競争制限のリスクが生じるため、公取委が合併内容の見直しを求めたり、合併を中止させたりすることがあります。
役員兼任に対する規制
競争企業間で役員の兼任が行われた場合、独禁法の規制対象となります。これは、同じ業界内の競争相手企業が共通の役員を持つことにより、企業間で競争に不当な影響を与える可能性があるためです。
独禁法第13条では、競争相手となる企業間で役員を兼任することで、市場における競争を制限するおそれがあると判断された場合には、その役員兼任を禁止しています。たとえば、同じ業界内のライバル企業A社とB社が同じ人物を役員として任命した場合、A社の経営方針がB社に伝わり、互いに価格競争を回避するなどの事態が生じる可能性があります。
そのため、役員兼任が規制されるケースでは、公取委から兼任役員の解任や、役員体制の変更が求められることがあります。
共同株式移転・事業譲渡に対する規制
共同株式移転や事業譲渡も、独禁法の規制対象となる場合があります。これらの行為は、複数の企業が株式を交換することで支配権を共有したり、特定事業を譲り受けることによって市場での競争を制限する可能性があるためです。
- 共同株式移転
独禁法第15条の3では、共同株式移転を通じて市場での競争を制限する場合、その行為を規制しています。たとえば、複数の企業が共同で株式を移転し合うことによって、業界全体の競争を排除し、他の競争相手を市場から締め出す行為が行われることがあります。
- 事業譲渡
独禁法第16条では、事業の譲渡が競争を制限する場合を規制しています。事業譲渡とは、企業が他社に対して事業の全部または重要な部分を譲り渡すことを指し、これにより市場における支配力が強化され、競争制限の可能性がある場合には、独禁法の審査を受けることとなります。
これらの規制により、企業が共同で市場に対する支配力を強めることを防ぐとともに、公正な競争環境を維持することを目的としています。例えば、大手小売企業同士が共同株式移転を行い、互いの店舗運営を一本化することで地域市場での支配力を強めるような場合、独禁法に基づき公取委が取引の見直しを求めることがあります。
M&Aにおける独占禁止法のリスクとは?
M&Aを実施する際、独禁法の規制に抵触すると、計画そのものが実現できなくなったり、長期にわたる審査を経ることでビジネスに多大な影響を及ぼす可能性があります。独禁法は市場の競争環境を守るため、特定の企業が市場支配力を持ちすぎることや、競争を不当に制限することを防ぐことを目的としています。そのため、企業結合によって市場における競争環境が大きく変わる可能性があると公取委が判断した場合には、審査が長期化したり、問題解消措置を講じる必要が出てくることもあります。
ここでは、M&Aにおける独禁法の主なリスクについて、計画自体が承認されないリスク、審査期間の長期化リスク、競争制限の問題解消措置を求められるリスクの3つに分けて解説します。
M&A計画が認められないリスク
M&Aが独禁法に抵触する場合、計画自体が公取委によって承認されず、M&Aの実行が不可能になるリスクがあります。これは特に、企業結合によって市場での支配力が強化され、競争が実質的に制限されると判断された場合に発生します。市場シェアが過剰に集中することによって価格競争が減り、消費者や他の事業者に不利益が生じるおそれがあると見なされた際、M&A計画そのものを見直す必要が出てくるのです。
例えば、大手流通業界の企業が競合他社を買収して業界トップの地位を確保しようとしたケースでは、買収後の市場シェアが高くなりすぎることで市場全体に悪影響を及ぼすと判断され、買収計画を公取委から認められなかった事例があります。また、IT業界や製造業など、特定の技術やサービスを独占する可能性がある分野では、同様のリスクがさらに高まります。
このような場合、独禁法に基づいて計画の変更や中止が求められることがあるため、企業はM&Aを進める前に十分な市場調査と法的な確認を行い、リスクを未然に防ぐ対応が重要です。
M&A審査が長期化するリスク
M&A計画が独禁法に抵触する可能性がある場合、通常の第1次審査で問題が解決されず、第2次審査に移行することがあります。これにより、M&Aプロセス全体が長期化し、予定していたスケジュールが大幅に遅れるリスクが生じます。
第1次審査は通常、届出受理から30日以内に終了しますが、さらに詳細な審査が必要と判断された場合には、第2次審査に移行し、追加の資料提出や分析を行うために数カ月から場合によっては1年以上の期間を要することがあります。この審査期間中はM&Aの手続きを進めることができず、取引先や従業員、投資家に対しても不安を与える要因となるため、企業活動に大きな影響を及ぼします。
過去の事例では、2016年の「十八銀行とふくおかフィナンシャルグループ」の統合計画が、最終的な審査結果が出るまでに約850日を要したことがあります。この事例では、地域市場における競争環境への影響を公取委が慎重に評価し、問題解消措置が講じられるまでの長期間にわたり審査が続きました。このように、第2次審査に移行することで審査期間が大幅に延びるリスクを考慮する必要があります。
審査期間が長期化することにより、企業の成長戦略が停滞するだけでなく、取引先や従業員のモチベーション低下、株価の下落、株主からの反発など、さまざまな悪影響が生じることもあるため、M&Aを計画する際には事前のリスク評価と、迅速な対応策を検討しておくことが重要です。
競争制限の問題解消措置が求められるリスク
M&Aが競争を制限するおそれがあると公取委が判断した場合、問題解消措置を講じることが条件となることがあります。問題解消措置とは、独禁法に抵触しないようにするために、企業が自主的に競争制限の影響を減らすための措置を行うことを指します。具体的には、第三者への事業譲渡やライセンス供与、役員体制の見直しといった方法があります。
例えば、製造業において、企業同士の統合によって特定の原材料供給が独占され、他の企業が調達できなくなるといった状況が想定される場合、問題解消措置として、原材料の供給を一定条件で維持することを義務付けられることがあります。また、IT業界では、特定のソフトウェアや技術の使用権を第三者にも供与することで競争制限の影響を緩和するライセンス供与措置が求められることもあります。
問題解消措置を講じることによって、M&Aの承認を得ることが可能になる一方で、企業は事業戦略を再構築し、取引先や従業員に対しても十分な説明と対応を行わなければなりません。特に、事業の一部譲渡や役員体制の変更は、企業の経営戦略や組織体制に大きな影響を及ぼすため、M&Aの目的達成が困難になることもあります。
例えば、製薬業界でのM&Aでは、製品ポートフォリオの一部を第三者に譲渡することや、特定の医薬品の開発や販売権を他社に譲渡することで、競争制限の影響を緩和するケースが多く見られます。このような措置を講じることで、M&A自体は成立しますが、企業が計画していた成長戦略が達成できなくなることもあるため、慎重な判断が求められます。
このように、競争制限の問題解消措置が求められる場合、M&Aのスムーズな実行を阻む要因となり、企業にとっては大きなコストやリスクを伴うことがあるため、M&Aを計画する段階で、事前に競争環境や市場状況を十分に把握し、公取委との早期の協議を行うことが重要です。
M&Aでの独禁法リスクを回避するための事前届出制度
M&Aにおいて独禁法に抵触しないようにするためには、事前届出制度の利用が重要です。公取委への事前届出制度は、一定の規模以上のM&A案件が市場の競争環境にどのような影響を与えるかを審査し、競争制限のリスクがないことを確認するためのプロセスです。届出の要件を満たす案件については、届出を怠ると重大なリスクを引き起こし、最悪の場合、計画自体が承認されずにM&Aが実現できなくなる可能性もあります。
ここでは、M&Aで事前届出が必要となるケースや、届出制度の審査プロセスについて解説するとともに、届出を行わなかった場合のリスクについても触れ、企業がスムーズにM&Aを進めるための留意点を紹介します。
事前届出が必要なケースとは?
事前届出制度が適用されるM&A案件には、売上高や議決権割合などの一定の基準があります。公取委は、これらの基準を満たす場合に事前届出を義務付けることで、企業結合が市場の競争環境に与える影響を事前に把握し、必要な場合には対応を講じることができるようにしています。
具体的には、以下のケースで事前届出が必要となります。
1. 株式取得に対する届出要件
株式取得が事前届出の対象となるのは、取得する企業と取得される企業の国内売上高がそれぞれ一定基準を超え、取得後の議決権割合が新たに20%または50%を超える場合です。具体的な基準は以下の通りです。
- 株式取得会社:企業グループ全体での国内売上高が200億円を超える。
- 株式発行会社:企業グループ全体での国内売上高が50億円を超える。
- 議決権割合:取得後に議決権割合が20%または50%を超えること。
これらの基準を満たした場合には、公取委に対して株式取得の計画を届け出なければなりません。
2. 会社分割・合併に対する届出要件
会社分割や合併に対しても、同様の売上高基準が設けられています。特に、合併しようとする企業のうちいずれか一方の国内売上高が200億円を超え、もう一方の企業の国内売上高が50億円を超える場合には、事前届出が必要となります。
また、会社分割(吸収分割・新設分割)を行う場合も、同様の基準が適用され、規定の売上高を超える場合には、事前届出が求められます。
3. 共同株式移転および事業譲渡の届出要件
共同株式移転や事業譲渡に関しても、事前届出の対象となります。具体的には、以下のようなケースが該当します。
- 共同株式移転:当事会社のいずれか一方の国内売上高が200億円を超え、もう一方の企業の国内売上高が50億円を超える場合。
- 事業譲渡:譲渡企業の国内売上高が30億円を超え、譲受企業の国内売上高が200億円を超える場合。
このように、各案件に対して明確な基準が定められているため、企業はM&Aを計画する際に事前届出が必要かどうかを確認し、適切に対応することが求められます。
事前届出制度の審査プロセス
公取委への事前届出制度では、届出を受理してからM&A案件が承認されるまで、以下の審査プロセスを経ることになります。プロセスは主に第1次審査と第2次審査の2段階に分かれており、各段階で企業が提供する資料や情報の内容、競争制限のリスクに基づいて審査が行われます。
- 届出前相談制度の利用(任意)
届出前相談制度は、公取委に正式な届出を行う前に、計画内容や競争制限のリスクについて非公式に協議を行うための制度です。この相談は任意で行うものですが、事前に公取委とコミュニケーションをとり、M&A計画が独禁法に抵触する可能性を把握することで、スムーズな届出手続きを進めることができます。
- 第1次審査の開始(30日以内)
正式な届出が受理されると、原則として届出日から30日以内に第1次審査が行われます。この審査では、提出された資料をもとに、企業結合が市場の競争に与える影響を評価し、競争制限のリスクがないかを判断します。第1次審査で問題がないと判断されれば、その時点で審査は終了し、M&A計画の実行が可能となります。
- 第2次審査への移行(30日以降)
第1次審査で競争制限の懸念が払拭されなかった場合、第2次審査へと移行します。第2次審査では、さらに詳細な調査と分析が行われ、当事者企業からの追加資料の提出が求められます。この段階では、公取委との協議を通じて、競争制限のリスクを緩和するための問題解消措置が議論されることもあります。
第2次審査は場合によっては1年以上かかることもあり、この間、M&A手続きは中断されるため、企業は取引スケジュールや他の利害関係者への対応を考慮しながら対応する必要があります。
- 審査結果の通知およびM&A計画の実行
第2次審査の結果、問題がないと判断された場合、公取委は排除措置命令を行わない旨の通知を行い、M&A計画の実行が可能となります。しかし、競争制限のリスクがあると判断された場合には、問題解消措置の実施を条件としてM&Aが承認されることもあります。
事前届出を行わないとどうなる?リスクを理解しよう
事前届出を怠った場合、企業はさまざまなリスクに直面することになります。まず、届出を行わなかったことに対して公取委から罰則が科される可能性があります。罰則には、罰金や業務停止命令などが含まれ、企業の信用にも悪影響を及ぼします。
さらに、届出を行わずにM&Aを実施した場合、後から独禁法に抵触していると判断されると、取引自体が中止を命じられ、統合した事業を分割せざるを得なくなることもあります。これにより、企業は時間とコストを無駄にし、事業戦略に大きな打撃を受ける可能性があります。
例えば、過去にある企業が事前届出を行わずにM&Aを進めた結果、公取委から事業の一部譲渡を命じられ、計画していた成長戦略が達成できなかった事例があります。このような事態を防ぐためにも、事前届出を適切に行い、公取委と十分に協議を重ねながらM&Aを進めることが重要です。
まとめ: 独禁法リスクを理解し、M&Aを成功に導くための対策を!
独占禁止法は、企業がM&Aを通じて事業拡大を図る際に市場の競争環境を保護するための重要な法律です。本記事では、M&Aにおける独禁法の規制対象、リスク、そしてそれらを回避するための事前届出制度について解説してきました。独禁法に抵触することは、M&A計画の中止や長期化を招き、企業の成長戦略に大きな影響を与える可能性があります。事前届出を適切に行い、届出前相談を有効活用することで、公取委とのコミュニケーションを図り、リスクを未然に防ぐよう、適切なプロセスを確実に実行しましょう。