M&Aにおける価格算定の方法・相場を分かりやすく解説!


M&A (Mergers and Acquisitions、企業の合併・買収)は、企業の成長戦略や事業承継の一環としてますます重要な手段となっています。しかし、M&Aを成功させるためには、適正な価格算定が不可欠です。企業の価値を適切に評価し、売り手と買い手の双方が納得できる価格で合意に至ることは、M&Aプロセス全体の成否を左右する重要な要素です。本記事では、M&Aにおける価格算定の基本的な方法と、実際の相場についてわかりやすく解説します。

この記事を監修した人:福住優(M&A情報館 代表取締役)

M&Aにおける価格算定とは?

M&Aにおいて、価格算定は非常に重要なプロセスの一つです。企業の買収価格は、売り手と買い手の合意により決定されますが、その際の基礎となるのが価格算定です。適切な価格を算定することで、双方が納得できる取引を実現し、M&Aの成功を支える要素となります。ここでは、M&Aにおける価格算定の基本を解説します。

M&Aの価格算定の基本概念

M&Aにおける価格算定の基本概念は、企業が持つ価値を客観的かつ合理的に評価し、その価値に基づいて企業の譲渡価格を決定することです。この価値は、「企業価値」と呼ばれ、通常は企業が将来にわたって生み出すと期待される利益やキャッシュフロー、資産の価値、または市場での評価に基づいて算定されます。企業価値の算定方法には、主にコストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチの3つのアプローチが存在します。

コストアプローチは、企業の純資産を基準に、過去の蓄積である貸借対照表のデータをもとに算定されます。マーケットアプローチは、類似企業の市場価格や過去のM&A事例を基に算定する手法で、企業が市場でどの程度の価値を持つかを評価します。そしてインカムアプローチは、企業の将来の収益性やキャッシュフローに基づき、現在価値に割り引いて算定します。

価格算定が重要な理由

M&Aにおいて価格算定が重要な理由は、取引の成立そのものに直結するからです。M&Aは、売り手が企業を譲渡する対価として適正な金額を得ることを望み、買い手は将来の利益を期待してその企業に投資を行います。したがって、企業の価値を正確に評価し、両者が納得できる価格を設定することが、M&Aの成功には不可欠です。

適正な価格を算定することで、過大な評価による高値掴みや、過小評価による取引不成立のリスクを回避できます。特に、企業価値が過大に評価されると、買い手にとっては想定していた収益を得られない可能性があり、将来的に企業の統合後の業績に悪影響を及ぼすこともあります。また、売り手側も過小評価されることで、本来得られるべき対価を失う可能性があります。これにより、M&Aが売り手側の経営者や従業員に与える影響が大きくなり、最終的にM&Aが失敗に終わることも考えられます。

また、価格算定は、M&A交渉のベースラインとして機能します。適正な価格を算出し、その価格をもとに売り手と買い手が交渉を進めることで、よりスムーズな取引が可能になります。これにより、交渉の段階での行き違いや不確実性が減り、双方にとってのリスクを最小限に抑えることができます。

さらに、M&A後の統合作業(PMI: Post-Merger Integration)においても、価格算定が正確であったかどうかが影響を与えます。適正な価格であれば、統合後のシナジー効果を最大限に引き出しやすくなり、企業の成長や収益性向上につながります。一方で、価格算定に誤りがあった場合、シナジーが十分に発揮されず、M&Aが失敗に終わるリスクが高まります。

このように、M&Aにおける価格算定は、取引の成功を左右する重要な要素です。適正な価格を算定し、双方が納得できる価格で取引を進めることで、M&Aの成功を確実なものにすることができます。

M&Aの価格算定に影響を与える要素

M&Aにおける価格算定は、企業の多様な要素に大きく依存します。これらの要素は、企業の財務状況や業績から、市場の需要と供給、さらには業種や地域といった外部環境まで多岐にわたります。以下では、これらの要素がどのように価格に影響を与えるのかを解説します。

企業の財務状況と業績

企業の財務状況と業績は、M&Aの価格算定において最も重要な要素の一つです。財務状況は、企業の健康状態を示すものであり、負債の有無、流動資産の充足度、キャッシュフローの健全性など、さまざまな指標が考慮されます。たとえば、企業が大きな負債を抱えている場合、その負債が買収後に買い手企業にとって負担となる可能性があるため、価格が低く抑えられる傾向があります。一方で、資産が豊富で、負債が少ない企業は、財務的に健全であると評価され、価格が高くなる傾向にあります。

また、業績の安定性と将来性も価格に大きな影響を与えます。過去数年間にわたって安定した利益を上げている企業は、その業績が将来も続くと期待され、価格が高く評価されやすくなります。逆に、業績が不安定である企業や、将来性に不透明感がある企業は、リスクが高いと見なされ、価格が抑えられることが一般的です。

特に、将来のキャッシュフローや利益の予測がM&Aの価格算定に反映される場合、業績の見通しが明確であることが重要です。成長が期待できる事業を持つ企業や、市場シェアを拡大している企業は、買い手から高く評価される可能性があります。

M&A市場の需要と供給

M&Aの価格算定において、市場の需要と供給のバランスは非常に重要な役割を果たします。市場環境が好調で、多くの買い手が企業を買収したいと考えている「売り手市場」では、企業の譲渡価格が上昇する傾向にあります。このような市場では、企業価値が高く評価され、売り手にとって有利な価格交渉が可能になります。

一方、「買い手市場」と呼ばれる、売り手が多く買い手が少ない状況では、譲渡価格が下がる傾向があります。買い手が限られているため、売り手はより競争力のある価格で企業を売却しなければならず、結果的に価格が抑えられることになります。

市場の需要と供給は、経済の景気動向や特定の業界のトレンドに大きく左右されます。たとえば、ある業界が成長期にある場合、その業界の企業に対する需要が高まり、M&A市場においても高値が付けられることが多くなります。逆に、業界が衰退期にある場合、企業価値は低く評価されがちです。

業種・地域・取引先・財務の要素

M&Aの価格算定において、企業が属する業種や地域、さらには取引先や財務の要素も大きな影響を与えます。業種や地域による価格差は、M&A市場において非常に顕著です。たとえば、成長が期待されるテクノロジー分野やヘルスケア業界の企業は、高い成長ポテンシャルが評価され、他の業種に比べて高い価格がつけられることが多いです。一方、成熟市場にある業界や、競争が激しい業界では、価格が低く抑えられる傾向があります。

地域による価格差も無視できません。都市圏に拠点を置く企業や、特定の地域で独占的な市場ポジションを持つ企業は、その地理的優位性が評価され、高値がつけられることが多いです。逆に、地方に拠点を置き、アクセスが難しい地域にある企業は、取引価格が低くなることがあるでしょう。

取引先の質と財務健全性も、価格算定において重要な要素です。企業の主要取引先が業界のリーダー企業である場合や、取引関係が安定している場合、その企業の収益性や将来性が高く評価されます。また、取引先の多様性や、特定の取引先に依存しないビジネスモデルを持っている企業は、リスクが分散されているため、高く評価される傾向にあります。

最後に、財務健全性も重要です。収益性の高い企業や、効率的に資本を運用している企業は、財務状況が健全であるとみなされ、M&A市場において高値で評価されることが多いです。特に、負債の少ない企業や、キャッシュフローが安定している企業は、買い手にとって魅力的な投資対象となります。

M&Aの価格算定方法

M&Aにおける企業の価格算定には、さまざまな手法が用いられます。これらの手法は、企業の特性や市場環境、M&Aの目的に応じて選ばれ、それぞれに特有のメリットとデメリットがあります。ここでは、一般的に利用されるコストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチの3つのアプローチについて解説します。

コストアプローチ

コストアプローチは、企業が保有する純資産に基づいて企業価値を評価する方法です。企業の貸借対照表に記載されている資産から負債を差し引いた「純資産価値」を算出し、それを企業の価値とみなします。この手法は、企業が所有する有形資産や、財務状況を反映したシンプルなアプローチであり、特に不動産業や製造業など、資産の価値が企業全体の価値に直結しやすい業種でよく用いられます。

コストアプローチの一環としてよく用いられるのが、「時価純資産+営業権法」です。これは、時価で評価された純資産に、企業の収益力を表す営業権(のれん代)を加えることで企業価値を算出する方法です。特に中小企業のM&Aにおいては、この手法が簡便であるため広く採用されています。たとえば、時価純資産が2億円、年間の実質利益が2億円の企業であれば、4年分の実質利益を営業権として加算し、合計10億円が売却価格の相場となります。

この手法は、資産価値に企業の収益性を加味することで、単純な資産評価よりも現実的な価格算定が可能です。しかし、理論的な裏付けが他の手法に比べて弱いため、大規模なM&Aや買い手が会計監査を受ける企業である場合には、他の評価手法と併用されることが多いです。

マーケットアプローチ

マーケットアプローチは、企業の市場価値を基にして価格を算定する方法です。上場企業の株価や、過去に実施された類似のM&A取引のデータを利用して、評価対象企業の価値を推定します。この手法は、市場での取引価格を反映するため、客観的で透明性の高い評価が可能です。

マーケットアプローチの代表的な手法が「類似企業比較法(マルチプル法)」です。この方法では、評価対象企業と類似する上場企業の株価や財務指標を基に、評価対象企業の価値を推定します。具体的には、上場企業の株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)などの指標を用い、評価対象企業の収益や純資産にこれらの倍率を適用して価値を算出します。

たとえば、評価対象企業がテクノロジー企業であり、類似の上場企業のPERが20倍である場合、対象企業の年間利益が1億円であれば、企業価値は20億円と推定されます。この手法は、特に上場企業同士のM&Aや、非上場企業でも市場で取引される可能性のある企業に対して広く利用されています。

ただし、この手法には市場の動向や類似企業の選定が価格に大きく影響するため、適用する際には慎重な分析が求められます。また、類似企業が存在しない場合や、市場が不安定な状況では、適用が難しいケースもあります。

インカムアプローチ

インカムアプローチは、企業の将来的な収益性を基にして価格を算定する方法です。企業が今後生み出すことが期待される利益やキャッシュフローを割引計算し、その現在価値を企業価値とします。この手法は、将来的な収益力を直接評価できるため、成長企業や収益性の高い企業の評価に適しています。

インカムアプローチの代表的な手法が「DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)」です。DCF法では、企業が将来生み出すと予測されるフリーキャッシュフロー(FCF)を割引率(加重平均資本コスト、WACC)で現在価値に換算し、それを合計して企業価値を算出します。この方法は、特に上場企業や成長性の高いベンチャー企業のM&Aで広く採用されており、投資対効果を評価するのに最適な方法とされています。

たとえば、ある企業が今後5年間で毎年1億円のフリーキャッシュフローを生み出すと予測され、割引率を10%と設定した場合、その企業価値はこれらのキャッシュフローの現在価値の合計で算出されます。DCF法のメリットは、将来の収益性を直接反映できる点にありますが、逆に将来の予測に依存するため、予測が不正確であると評価が大きく変動するリスクもあります。

もう一つのインカムアプローチの手法が「配当還元法」です。この方法は、企業が将来支払うと期待される配当を基に株主価値を評価します。特に株主が安定した配当を期待する場合に有効です。配当還元法では、将来の配当金額を割引率で現在価値に換算し、それを株主価値として算出します。ただし、この手法は成長企業には適用しにくい場合があり、主に成熟した企業や配当重視の投資家に適しています。

インカムアプローチは、企業の将来的な収益力を評価するため、M&Aにおいて非常に重要な価格算定手法となります。企業の成長性や収益性に応じて、適切な割引率やフリーキャッシュフローの見積もりを行うことで、合理的な企業価値を算出することが可能です。

具体的な価格算定の流れ

M&Aにおける価格算定は、企業の譲渡価格を決定するための重要なステップです。価格算定のプロセスは、初期準備からデータ収集、価格算定の実施、そして交渉から最終決定まで、段階を追って進められます。それぞれのステップでの適切な対応が、最終的な価格の妥当性とM&A全体の成功に大きく影響を与えます。

1. 初期準備とデータ収集

価格算定の最初のステップは、必要なデータの収集です。この段階では、企業の財務状況や業績、資産状況、負債状況など、あらゆる側面からの情報が求められます。これには、財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)や、過去数年間の業績データ、事業計画、資産台帳、契約書などが含まれます。さらに、業界動向や競合他社の状況、経済環境に関する外部データも重要です。

これらのデータを適切に収集することで、企業価値の評価がより精度の高いものとなります。特に、企業が抱える潜在的なリスクや成長機会を見逃さないようにするためには、詳細なデータ収集が不可欠です。

初期準備がしっかりと行われるかどうかは、後の価格算定や交渉の成否に直結します。例えば、収集したデータが不完全であったり、正確性に欠ける場合、算定された企業価値に誤差が生じ、その後の交渉で不利な立場に立たされる可能性があります。そのため、初期準備の段階でどれだけ正確かつ広範なデータを揃えられるかが、M&Aの成否を左右すると言っても過言ではありません。

2. 価格算定の実施

価格算定のプロセスは、収集したデータに基づき、さまざまな評価手法を用いて企業価値を計算することから始まります。主に、コストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチの3つの手法が用いられます。これらの手法の適用方法は、企業の業種や市場環境、M&Aの目的に応じて選択されます。

例えば、コストアプローチでは、貸借対照表に記載された資産や負債の価値を評価し、純資産価値を算定します。マーケットアプローチでは、類似企業の市場データや過去のM&A取引データを用いて価格を推定します。インカムアプローチでは、将来のキャッシュフローや利益を現在価値に割り引いて算定するDCF法がよく使われます。

企業価値評価とは、企業全体の価値を評価するプロセスを指します。一方で、株主価値評価は、その企業価値から有利子負債を差し引いた純粋な株主に帰属する価値を評価するものです。企業価値が高くても、負債が多い企業では株主価値が低くなる可能性があります。この違いを理解することは、価格交渉を進める上で非常に重要です。

3. 価格交渉と最終決定

価格算定が完了した後は、算定された価格を基に売り手と買い手の間で価格交渉が行われます。ここでは、売り手と買い手の双方が自らの主張を基に交渉を進め、最終的な譲渡価格を決定します。この段階では、価格だけでなく、支払い条件やM&A後の統合計画(PMI)なども議題に上がることが多いです。

交渉が進む中で、双方の意向を反映させながらも、M&Aが成功するためには、価格の妥当性を証明する根拠を明確に提示することが重要です。また、交渉が難航する場合は、外部のアドバイザーや専門家の助言を仰ぐことも有効です。

価格交渉が進み、双方が合意に至ると、「意向表明(LOI: Letter of Intent)」が交わされます。この段階では、基本的な価格や条件が合意され、正式契約に向けたデューデリジェンス(DD)が実施されます。デューデリジェンスの結果によっては、価格や条件の再交渉が行われることもありますが、このプロセスを経て、最終的な契約が締結されます。

最終契約が締結されると、M&A取引は「クロージング」に進み、実際の譲渡手続きが行われます。クロージング後も、PMIを含む統合作業が円滑に進むよう、事前の計画や合意内容に基づいて進行が管理されます。

価格算定時の注意点

M&Aにおける価格算定は、企業の譲渡価格を決定するための重要なプロセスですが、単一の評価方法だけで価格を算定するのはリスクを伴います。そのため、いくつかの重要な注意点を押さえておくことが、適切な価格決定を行うためには欠かせません。ここでは、複数の評価方法を併用することの重要性や、のれん代の考慮に関するポイントについて解説します。

複数の評価方法の併用

M&Aの価格算定においては、コストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチのそれぞれに特有の強みと弱みがあります。これらの評価方法を複数併用することで、各アプローチの欠点を補い、より精度の高い価格算定が可能になります。例えば、コストアプローチは企業の純資産に基づくため、資産価値が過小評価されるリスクがありますが、インカムアプローチを併用することで将来の収益性を考慮に入れることができます。こうして、複数の視点から企業価値を評価することで、偏りのない、公平な価格を算定できるのです。

併用する際には、それぞれの手法が提示する価格範囲の平均を取る、あるいは業種や市場環境に最も適した方法を主軸にし、他の方法を参考に補完する形で算定を進めることが推奨されます。これにより、リスクの低減とともに、売り手・買い手双方が納得できる価格の形成が可能となります。

評価方法を選択する際には、企業の特性や市場状況に応じた基準が重要です。例えば、不動産業や製造業など、資産のウェイトが大きい業種では、コストアプローチを中心に据えることが多いです。一方で、IT企業やベンチャー企業など、将来の成長が期待される業種では、インカムアプローチを重視する傾向にあります。また、マーケットアプローチは、上場企業や類似企業が多数存在する市場において有効です。

さらに、M&Aの目的や売り手・買い手のニーズも考慮に入れる必要があります。成長戦略を見据えた買収であれば、将来のキャッシュフローを重視するDCF法が適していることが多いですし、短期的な資産売却を目的とする場合には、コストアプローチが有効です。このように、状況に応じて最適な評価方法を選び、併用することが、適正な価格算定の鍵となります。

のれん代の考慮

のれん代とは、企業の事業価値が純資産を上回る場合に、その超過部分を表す無形資産のことです。これは企業のブランド力、顧客基盤、技術力、従業員の能力など、目に見えない要素が生み出す将来の収益力を反映しています。のれん代の算定には、時価純資産に対して営業権(のれん代)を加算する方法が一般的です。この方法では、通常、数年分の利益を基にして計算されます。具体的には、直近数年の平均利益に2~5年分の倍率を掛けて算出するケースが多く見られます。

のれん代を適切に評価することは、企業の真の価値を反映する上で極めて重要です。しかし、その評価には一定の主観が含まれるため、売り手と買い手の間で合意が得られにくい部分でもあります。のれん代が高く評価される企業では、譲渡価格も高くなる傾向があるため、価格交渉の重要なポイントとなります。

のれん代を価格算定に加味する際には、いくつかのポイントに注意する必要があります。まず、のれん代は将来の収益性に強く依存するため、収益予測の根拠がしっかりとしているかを確認することが重要です。具体的には、売上高の成長率、営業利益率、キャッシュフローの安定性などを総合的に評価し、現実的な予測を立てる必要があります。

また、のれん代が過大に評価されるリスクを避けるために、複数の評価手法を用いてのれん代の妥当性を検証することが有効です。例えば、インカムアプローチによる将来キャッシュフローの現在価値と、コストアプローチによる純資産価値を比較し、その差異からのれん代を導き出す方法も考えられます。このように、のれん代の算定においても、多角的な視点からの検証が不可欠です。

さらに、のれん代はM&A後の統合(PMI)においても影響を及ぼします。過大に評価されたのれん代は、PMI後に実際の収益が期待を下回った場合、減損処理が必要となり、財務上のリスクが発生する可能性があります。そのため、のれん代の評価は慎重に行うべきです。

まとめ:M&Aの価格算定を成功に導くためのポイントをおさえよう!

M&Aの価格算定は、単なる計算作業ではなく、企業の将来を見据えた重要な判断です。コストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチといった各種手法を駆使し、複数の視点から企業価値を評価することで、より正確で納得のいく価格が算定できます。また、のれん代の適切な評価や複数の手法の併用によって、リスクを最小限に抑えることができます。M&Aを成功させるためには、価格算定をしっかりと行い、交渉を有利に進める準備を整えることが重要です。これにより、双方にとって最適な結果を得ることができるでしょう。

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